2009年9月18日金曜日

米国 特許の権利消滅をいかに遅らせるか

特許の権利消滅をいかに遅らせるか
私の業界ではあまり関係のない話題なのですが製薬業界では売り上げに直結する重要な話のようです。

Amgen Inc. v. F. Hoffman-La Roche Ltd. (Fed. Cir. 2009)
(PatentlyO) (271) (PatentDoc) (Patent Baristas) (Law.com)

製薬会社はこれまで重要な製薬(プロダクト&メソド)特許に関しては限定要求を受けるような内容で出願していました。限定要求を受けた後の分割出願において、親出願は自明型2重特許の先行技術として扱わないという121条の例外規定がありますが、これまで製薬会社は限定要求を受けた後に分割ではなく継続出願で対応する例が多かったようです。

分割出願の場合、権利消滅日は親出願の権利消滅日と同じですが継続出願の場合はその出願日から特許の寿命が起算され権利消滅日が繰り下がります。通常、継続出願するとそのクレーム内容が親出願と非常に近くなるため親特許を先行技術として自明型2重特許であるとして拒絶を受けます。もし自明型2重特許による拒絶を回避できるなら継続出願の権利消滅日まで権利保護することができ、実質的に特許期間の延長(親出願の出願日から継続出願の権利消滅日までの期間は20年を越える)が可能となります。

限定要求が出された後に継続出願(または一部継続出願)し、かつ、121条の例外規定が適用されれば重要な製薬特許を20年を越えて保護することが可能になります。

では、限定要求の後に分割出願ではなく、継続出願または一部継続出願をして、それが121条の例外規定の対象になるのか?

一部継続出願については以下の判決で決着がつきました。
Pfizer, Inc. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc. (Fed. Cir. 2008)
一部継続出願には121条の例外規定が適用されないとの判決が下されました。
「"continuation-in-part" was not merely semantic but had substantive repercussions regarding whether the '068 claims were entitled to the "safe harbor" provisions of 35 U.S.C. § 121」

そして今回、継続出願についても決着がつきました。
Amgen Inc. v. F. Hoffman-La Roche Ltd. (Fed. Cir. 2009)
継続出願にも121条の例外規定が適用されないとの判決が下されました。

Amgenの3件の特許( US5,547,933, US5756,349, US5,955,422)は無効となり実質的な権利保護期間が約2.5年短くなるようです。(下表はPatentDocから引用)

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