2009年5月8日金曜日

特許翻訳

翻訳フォーラムの掲示板で特許翻訳系のスレッドを眺めていたのですが、翻訳者の方は一つの単語をこうも深堀して訳しているのかと頭が下がる思いがします。

企業知財部員の立場だと、特許性や権利解釈に影響しないところは軽くスルーすればよいし、日本語文書の論理構成がおかしなところ(ばかりですね)は論理的につじつまのあう範囲で訳しやすい形にして訳せば良いとつい思ってしまうのですが翻訳を生業とする方にとっては「原文」はとても大事なものなのですね。
これまでの自分の原稿チェックスタイルを振り返ってみると翻訳者の方にとってはかなり理不尽な指摘が多かったのではないかと反省する部分がかなりあります。

スレッドのある方の発言の一部を引用します。特許翻訳に関してはこの方のスタイルで翻訳してくれるのが(私としては)一番だと思います。

誤解を恐れずに言ってしまうと、特許翻訳って「究極の下訳」だと思います。

いくら法律的な知識が豊富でも、出願までいくつも段階を隔てた翻訳者が出
願明細書そのものを作成することはありませんし、そこまでの責任を持つこ
ともできません。

では、優れた特許翻訳は何かと問われれば、それは「使いやすい翻訳」だと
思います。

PCT で mpf を意識していないであろう「手段」も "means" としておいてほ
しいという依頼であっても、ソースクライアントは訳文提出前に訳語の再検
討をする予定なのかもしれません。米国出願用と言いつつ直訳せよという依
頼であっても、もしかするとソースクライアントに英語ネイティブがいて、
英文で内容を検討した方がいいのかもしれません。

要は、どんな法律的(さらに言うなら英語的、技術的)知識もソースクライ
アントの希望によって override されてしまうわけです。クライアントは自
分の使い道に合わせて英文をオーダーメイドしてくるのですから。

そういうクライアントの希望にフィットした翻訳やコメントが優れた特許翻
訳であると考えています。

0 件のコメント: