2009年5月2日土曜日

(雑談)企業知財にとって迷惑な事

企業知財にとって、なにがはた迷惑かというと一般発明家からの売り込みです。
会社の事業戦略とほぼ関係ないうえに、「願望」を発明とした売り込みが結構あります。
大変なのは一般消費材を商品として扱う企業の知財担当者(私は幸運にも消費者と直接の商売関係がない業種なので救われています)です。
そういう種類の会社のある知財担当者は、そのたぐいの売り込みは完全に無視すると言っていました。広報の担当者が勝手に世辞で「貴重な提案ありがとうございました」などと発明者に返答したことがあるそうですが、その広報担当者に知財は一切責任を持たないから広報部門の責任で方をつけるよう啖呵をきったそうです。また、時には先行技術をたくさん探してきて発明者に送り返しているとも言ってました。

私も以前、会社の役員から(彼の)親戚の発明(登録意匠でした)に関して事業性があるか相談されたことがあります。その時は実用新案から先行技術をいくつか見つけて「止めた方がいい」旨やんわりと伝えました。

この記事(LINK)もそのたぐいの話ですね。特に米国のブログを見ていると自分は素晴らしい発明をしたから売りたい、というような記事をよく見かけます。米国企業の知財担当者は日本以上に大変でしょうね。
Companies work on inventing in-house, and some will accept outside submissions. The nightmare scenario for a company is to hear an idea from someone only to realize they are already working on that in-house or licensing in the technology. If they hear your idea and do not proceed with you they are opening themselves up to liability because if they do not do business with you it will seem as if they stole your idea. The theft of ideas is extraordinarily rare, but if you tell someone your idea and they come out with it after your disclosure it looks suspicious.

2 件のコメント:

pecan さんのコメント...

ご無沙汰しています。私のところにも結構売込みがありますよ。

完全に無視はせずに、一応、関係各部署に聞いてみます。これまでのところ、必要と言われたことはありませんが…。

結局、最後には知財トップ(取締役)名で、“検討しましたが、現在のところ実施する見込みがない”という丁寧な文章でお断りの手紙を出しています。一応、以前からそういう慣習になっているもので…。

個人発明家などプライドの高い場合も多いのですが、たいていは、トップ名で回答が来ると納得してくれるようです。後々のトラブルを防止するためには、完全に無視するよりは良いかもしれない、と思っています。また、製品がコンシューマープロダクトの場合、発明家の方もお客様になってくれる可能性もあるわけですから。なお、断りのフォーマットもありますので、特に手間がかかるわけではありません…。

ただ、時折、公開前の出願原稿を送ってくる発明者があるので要注意です。この公開される前に同じ内容が社内から出願されたりすると、発明の内容を公開前に盗んで出願したなどと難癖をつけられないとも限りませんからね。

toy-san さんのコメント...

pecanさん、お久しぶりです(1年ぶり?)。
pecanさんの会社は丁寧な対応をされるのですね。確かに潜在的な顧客である発明家に会社の悪い印象をもたれるのはよくないですね。私のところは消費者相手の商売ではないのでそこまで気を使っていないのが現状です。
大学との共同研究でもアイディアと製品のギャップが大きくてなかなか製品に結びつけることができないのに、単発の発明を製品に結びつけるのは至難の技なんですよね。それを分かってほしいものです。
それにしても、新聞の相談欄で「発明は出願あとに会社へ売り込みましょう!」なんてやられたら大変ですよね。