2008年6月30日月曜日

中国知財実務 審決取消訴訟(メモ)

現在、中国特許実務を勉強中につき最近の知見の備忘録です

発明特許の無効審判に不服が有る場合は北京中級人民法院へ3ヶ月以内に出訴可能。審決は行政決定であり、この訴訟は行政訴訟となる。従って、弁論主義は適用されず和解もない。取下げについては法院が裁定により決定する(行政訴訟法50,51条)。
この前提のもと、原告と第三者の間で和解が成立した場合に訴訟取下げはどうするのか? また訴訟取下げの効果はあるのか?
という疑問に対し、北京林達劉知識産権代理事務所より実にタイムリーなメールマガジンが届きました。

以下の記述は北京林達劉知識産権代理事務所 (LINDA LIU & PARTNERS)発行IPニュース32号の王 璐弁理士の記事を要約したものです。

行政訴訟の性格上、訴訟において、原告と特許審判委員会とが和解する可能性はない。原告と第三者とが法廷外で和解に達した場合には、一般的に原告は行政訴訟において訴訟取下げを請求する。このように訴訟を取下げても、原告にとっては単に行政訴訟を停止できるだけであり、原告に不利な無効審判の審決を変更または取消すという目的を達成することはできない。行政訴訟中の和解についてここ数年来、法曹界で問題視され検討されてきた。特に原告と第三者との和解結果が係争中の行政審決に影響を及ぼすかどうかが注目されていた。
この点を明確にするため、最高人民法院は司法解釈「最高人民法院による行政訴訟の訴訟取下げに関する若干問題の規定」を2 0 0 8年1月1 4日に公布し、2 0 0 8年2月1 3日(2月1日?)より施行されている。

関連条項を以下に示す
「第二条 訴えられた具体的な行政行為の被告による変更、原告による訴訟取下げの請求が、以下の各号に掲げる条件に合致する場合、裁判所はそれを認めるべきである。
第二条 被告改变被诉具体行政行为,原告申请撤诉,符合下列条件的,人民法院应当裁定准许
(一) 訴訟取下げの申請は当事者の真実の意思表示であること;
(一)申请撤诉是当事人真实意思表示

(二) 訴えられた具体的な行政行為の被告による変更は法律、法規の禁止的な規定に違反せず、職権を超えまたは放棄せず、公共利益及び他人の合法的な権利と利益を損なわないこと;
(二)被告改变被诉具体行政行为,不违反法律、法规的禁止性规定,不超越或者放弃职权,不损害公共利益和他人合法权益

( 三) 被告は訴えられた具体的な行政行為を変更または変更しようとし、それを書面により裁判所に通知すること;
(三)被告已经改变或者决定改变被诉具体行政行为,并书面告知人民法院

(四) 第三者の異議がないこと。
(四)第三人无异议

第四条 各号の一つに該当する場合には、「被告は訴えられた具体的な行政行為を変更した」と見なされる
第四条 有下列情形之一的,可以视为“被告改变其所作的具体行政行为”
(一) 原告の請求により法律に定められた職責を法に照らして履行する場合;
(一)根据原告的请求依法履行法定职责

(二) 対応する救済、補償等措置を講ずる場合;
(二)采取相应的补救、补偿等措施

(三) 行政裁決手続において、書面による原告と第三者との和解を認める場合;
(三)在行政裁决案件中,书面认可原告与第三人达成的和解

司法解釈により、原告と第三者とが和解に達すれば、これを理由として特許審判委員会に原無効審判の審決の変更を請求して原告に不利な無効審判の審決が効力を得ることを回避できることが明確になった。
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余談ですが、この司法解釈を探すために最高人民法院のホームページに行きましたがみつかりませんでした。そこでは2008年の司法解釈はまだ、ほとんど掲載されていませんでした。次に中国法院網のホームページに行きやっと司法解釈を見つけました。こちらの方が掲載はかなり早いようです。

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